瓦(素材・形状)

日本では一番有名な屋根材が瓦です。しかし一言で瓦と言ってもその種類は多く存在し、特徴もそれぞれ全く異なります。

【素材別】屋根瓦

釉薬瓦(ゆうやくがわら)

釉薬瓦

もっとも一般的な瓦が「釉薬瓦(ゆうやくがわら)」です。粘土で瓦の形を作ったあと、釉薬と呼ばれるガラス質の薬剤を塗布して高温の窯で焼いて作ります。お茶碗などの陶器を作る工程と同じですので「陶器瓦」と呼ばれることもあります。

釉薬を塗ることで瓦にツヤを与えることができるだけでなく、赤色や青色など、好みの色に仕上げることができ、種類が多いことも釉薬瓦の特徴です。また釉薬を塗ることで雨水を通しにくくなるため、耐水性に優れています。瓦自体に雨水が染みこまずに流れ落ちることで、瓦の下にあるルーフィング(防水シート)が痛みにくいというメリットもあります。

それに加えて色やツヤが長持ちしやすいことも釉薬瓦の特徴です。いつまでも美しい外観をキープしたい方は釉薬瓦を選んでみてはいかがでしょうか。

いぶし瓦

いぶし瓦

いぶし瓦はお寺や神社の屋根に使われることが多い古来より伝統のある瓦です。粘土で作ることは釉薬瓦と同じですが、上薬をかけずに窯のなかでいぶすことにより独特な銀黒の色合いを出します。いぶし具合によって色が変わるため、釉薬瓦のような均一の美しさはないものの、1枚1枚風合いが異なる独特の美があります。

いぶし瓦の色合いは、窯の中でいぶされている間に付着する炭素の膜の色です。炭素幕は単に美しい色を付けるだけでなく、雨風から瓦を守る効果もあります。しかし年月が経つとともに炭素膜が剥がれてしまいますので、30~60年を目安に葺き替え工事をする必要があります。

素焼き瓦(すやきがわら)

粘土瓦

粘土で瓦の形を作り、そのまま焼いた瓦のことを「素焼き瓦(すやきがわら)」と言います。いぶし瓦と同じく釉薬を塗らないので、無釉薬瓦と分類することもあります。ただし、炭素の色が付くいぶし瓦とは違い、素焼き瓦は粘土そのものの赤い色合いが出るため、明るい色の屋根を希望する人に好まれています。

いぶし瓦は全体的に銀色っぽく見えるため、「銀瓦」と表現されることもありますが、素焼き瓦は全体的に赤みが強いため、「赤瓦」と表現されることもあります。なお、薬剤や炭素などが瓦に付着しないため、軽量で耐久性に優れていることも特徴です。耐用年数は平均で40~50年ほどになります。

セメント瓦

セメント瓦

粘土ではなくセメント、水、砂で作られる瓦を「セメント瓦」と呼びます。セメント瓦は陶器で作った釉薬瓦や素焼き瓦、いぶし瓦と比べると角の部分が角ばっていることが特徴です。セメント自体に色をつけて色つきのセメント瓦を作ることもありますが、セメント瓦を作ってからは塗料で着色することも多いです。

陶器瓦は焼く工程で予想以上に縮んでしまうことがあるため、廃棄しなくてはいけない瓦も多数あります。それに比べてセメント瓦は焼かずに仕上げるため、製造中の縮小がほとんどなく、ほぼすべての瓦が無駄なく使えるというメリットもあります。

しかし、デメリットもあります。上から塗料を塗っているセメント瓦は塗料が10~20年ほどでめくれあがってしまうため、瓦の葺き替えタイミングよりも早めに塗料の塗りなおしをしなくてはいけません。さらに陶器瓦と比べると重量が重いため、耐久性に劣るだけでなく、家自体に大きな負担をかけてしまいます。そのため、近年ではセメント瓦を使うお家は減少しているのが事実です。

モニエル瓦(コンクリート瓦)

モニエル瓦

上記のセメント瓦に着色スラリーと呼ばれる塗料が塗られている瓦を「モニエル瓦(コンクリート瓦)」と呼びます。日本モニエル株式会社が生産していたためモニエル瓦と呼ばれるようになりました。着色スラリーが防水性に長けているため、モニエル瓦はセメント瓦よりも防水性に優れています。

モニエル瓦とセメント瓦、どちらもセメントからできているため、少し見ただけでは見分けがつきにくいものです。切り口のギザギザが著しいときはモニエル瓦、比較的まっすぐなときはセメント瓦だと判断すれば間違いないでしょう。

【形状別】屋根瓦

和瓦(J型)

J型

もっとも一般的な瓦の形状はS字のような自然なカーブがある「和瓦(わがわら)」です。日本独自のものなので、Japaneseから「J型」と呼ばれることもあります。自然なカーブの部分に空気を含むために保湿性に優れており、カーブ部分から適度に湿度が蒸発するために換気性にも優れます。冬の寒さが厳しく、夏は湿度の高い日本の気候にはぴったりな形状の瓦と言えます。

また、和瓦の独特なカーブで隣り合った瓦同士がずれずにしっかりと組み合わさることが可能になります。大きな地震のときには崩れてしまいますが、軽い揺れ程度なら瓦同士の結束によって瓦が落ちたり崩壊したりすることを防げます。

和瓦の波打った形状には、雨や雪を留まらせない効果もあります。雨や雪がスムーズに流れ落ちると屋根が重圧を受けずに済むため、家自体の耐久性を向上させる効果も期待できます。特に釉薬瓦は摩擦が少なく、雨や雪が下に落ちやすくなっているので、降雨量や降雪量が多い地域にはオススメの屋根瓦と言えるでしょう。

平板瓦(F型)

平板瓦

和瓦に比べて平たい形状の瓦を「平板瓦」と呼びます。Flat(フラット)のFからF型と呼ばれることもあります。日本古来の形状である和瓦とは異なり、どんな様式のお家にも合うため、和風建築だけでなく洋風建築に使われることも多いです。

平板瓦には見た目がすっきりとしているため、屋根が広く見えるという視覚効果もあります。また、太陽光設備を導入したいと考えている方にも平板瓦はオススメです。どの瓦の種類でも太陽光パネルを設置することは可能ですが、瓦自体に凹凸がくっきりしていると、太陽光発電本体が悪目立ちしてしまう恐れがあります。平板瓦なら太陽光発電のフラットな蓄電池部分にもなじむため、違和感なく設置することができます。

スパニッシュ瓦(S型)

スパニッシュ瓦

波打った形状の和瓦よりさらに大きく波打っているのが「スパニッシュ瓦」です。SpanishのSをとってS型と呼ばれることもあります。南欧風の風合いが強いため、伝統的な日本家屋より洋風家屋によく合います。

スパニッシュ瓦は和瓦と同じように、波打った部分に空気を含むため、保湿性と通気性が高いことが特徴です。保湿性と通気性を維持しつつも、洋風の建築を希望する方にオススメできます。

屋根瓦まとめ

【素材別】
釉薬瓦:表面にツヤがあり、種類が豊富。耐水性に優れる。

いぶし瓦:独特の風合い、耐水性に優れる。

素焼き瓦:素朴な風合い、耐水性に優れる。

セメント瓦:塗り直し頻度が高く、耐久性が低い。

モニエル瓦:防水性には優れるが塗り直し頻度が高く、耐久性が低い。

【形状別】
和瓦(J型):自然なカーブ状で、保湿性と通気性に優れる。

平板瓦(F型):すっきりとした平らな形状。屋根が広く見え、太陽光発電との相性が良い。

スパニッシュ瓦(S型):大きなカーブ状。南欧風で保湿性と通気性に優れる。

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    この記事を書いた人

    情熱リノベーション株式会社 雨漏り診断士 水谷  一真(みずたに かずま)1994年11月29日生まれ

    生まれも育ちも三重県津市(白山町)です。小さな頃は野山を駆け回る野生児っぷりを発揮していたそうです。おかげで入社当初から屋根の上など高い場所に上るのはお手の物です。

    情熱リノベーション期待の若手ホープです。勉強熱心で過去の数千件ある雨漏り修理実績や雨漏り原因を調べ、いつの間にか知識を付けている頼もしい存在。今ではレディオキューブFM三重『雨漏り2時20分!』にレギュラー出演しています。

    三重県にお住まいで雨漏りにお悩みの方に少しでも役に立てれば幸いです。お気軽にご相談下さい。

    <水谷プロフィールはこちら>